老人として、温暖な気候の土地で余生を過ごしたいだけだ。なぜできない? なぜ王国の中心部でとぐろを巻くことしか考えない貴族の毒蛇どもの巣窟に背を向け、旨いワインと香辛料のきいた料理を楽しむことができないのだ?
この数ヶ月、毎週のように新たな事実が明らかになる中で、このカルナカの裏で起きている動きについてあれこれ思い悩む日々を送っている。ルカ・アベール公爵とその取り巻きの件だ。どうやらダンウォール衛兵隊のモーティマー・ラムゼイ隊長までもがその輪の中にいると知った。恐るべき裏切りに驚くばかりだ。他に何人が加担しているのだろう? 親愛なる若き女王、エミリーに対する彼らの敵意は明らかだ。だが、いつ、どのように襲撃するつもりだろうか?
あと1ヶ月、調査を続けて取りこぼした情報を集め、既に分かっている事実と合わせて考えるべきだろうか? いや、今は1週間さえも無駄にできない事態ではないか? それとも、今夜にでもミーガンと共にあのおんぼろ船で水路に漕ぎ出し、グリストルを目指すべきか?
コルヴォはきっと躊躇わないだろう。私のつかんだ情報を渡せば、すぐに行動に移してくれるはずだ。そして、私が焦っては彼まで破滅させることになる。彼がこの件に関して重要な情報を持たないまま故郷のサーコノスに戻ってしまってはおしまいだ
それに、クラウンキラーの件も気にかかる。あの恐ろしい敵が私の予想通りアベール公爵の計画の内だとすれば、ドレッドフル・ウェールが公爵に見つかるまでどれだけの時間が残されているだろう?