バージョン 1
昔はよくこうやって手紙を書いていた。デイドレが死んでから何年も、あの娘宛ての手紙を書いては、それを一枚残らず川に流していた。あなたもそんな姿を見たかもしれない。一声もかけてくれなかったけど。でも、そうすることで辛い時も耐えれた。深い悲しみは時に、人に変なことをさせる。あなたならその意味もわかるでしょ?
きっとこんなこと、ふさがった傷をまた開けるだけだと思う。でも、それが私の望みかもしれない。あなたは生きている。それはわかっている。けど、遥か遠くにいるのと死んでいるのは何の違いがあるの? だから私は、あなたに伝えたくても伝えられないことすべてを手紙に書き、それを海に投げ入れる。昔のように…
浸水地区での一件からは、苦難の日々が続いた。まったく新しい名前で、ゼロから生き直すのは骨が折れる。そして私は今、その名前まで捨てようとしている。あなたは私のこと気づいてくれる? 私はもう、昔みたいに若くない。まあ、ブリグモアの魔女を追っていたあなたもそうだったど。でもそれも、あなたの最後の仕事にはならなかった。噂が流れるとすぐにあなたはギャングや闇市場、ボーンチャームを捌くために仕事に戻る。今は何をしているの? アイルズに居てもいいのに、カルナカで一体何を?
なんとなく、あなたと再会した時に、この質問への答えを聞くのが怖い気がする
バージョン 2
あなたが寝ている間に、この手紙を書いている。あなたの寝息がまだ聞こえる。ときどき寝言も。小声でぶつぶつと。あなたを見つけた時、あなたがどんな風になっているのかなんて私にはわからなかった。けど、私がダンウォールを去った時と変わらず困っていた
いつも疑問に思っていることがある。もしあの夜私があなたを殺そうとしていなかったら、私はどうなっていたのか。もし去らずにあなたを助けていたら、ホエイラーズは未だにダンウォールの悪夢の一部だったのか? やはりあなたは自らの手をアウトサイダーの血で染め上げたいと願っていたのか?
きっと数年間平和な日々を過ごしたあなたは、新たな執着心に蝕まれたのだろう。そして今、あなたはそれにすべてを賭けようとしている、そうでしょ? 子供のころ、あなたみたいになりたいと憧れを抱いていた。そう、今はその夢はかなったけど…
とにかくアウトサイダーを殺せばきっと平穏が訪れるはず。きっとあなたが望んでいるのは、私たちがした全てのことで少なくとも何か変化があったと知ること。死が全てでなかったということ。私たちが踏みにじってきた全ての人々に公正な世界への道が切り開かれたと思えること
おそらくそれがあなたに残された唯一の希望
バージョン 3
日が経つにつれて少しずつ、あなたの動きが鈍く、呼吸が荒くなる。咳なんてすれば、胸元を殴られたみたいに身体中が痛むでしょうね。これから何が起こるのか、私もあなたもわかっている。ただ、それを見届けるのはあまりにもつらい。あなたは無敵の存在だと、いつの日からかそう思っていた
でもあなたは私を助けてくれた。全てを失って、戦うことしかできなかった私を受け入れてくれた。だから今度は私の番。ありがとう、って言えばいいんだろうか。それ以外、あなたのくれたものに報いる方法を私は知らない。あなたがくれた、かけがえのないもの
デッキに座って海が見たいって言ってたから、船倉に登るのを手伝った。夜は静かに、海は凪いでいる。あそこからの眺めがあんなにも綺麗だなんて。あなたも喜んでくれただろうか。あなたも、ダンウォールで過ごした日々を思い出してくれただろうか。屋根の上にふたり、ただ静かにウイスキーを交わしたあの日のことを