[大衆小説からの抜粋]
第3章
ダウドはその刃を見つめた。計画は完全に大成功だった。彼が望んだよりもうまくいったといえる。実際、何もかもが簡単に終わりすぎた。だが、全てが終わった今、彼の心はむなしかった。彼の心を再び満たしてくれるものはもはやこの世にないのだ。彼にはそれがはっきりとわかっていたし、恐ろしくもあった
隣の部屋からビリーが彼を呼んだ。「ボス?」
「1人にしてくれ」彼は彼女がそれ以上何か言う前に扉を小突いて閉めた。誰よりも彼女を信頼していたが、それでも話をする気になれなかったのだ
彼は刃についた血を布でふき取り、血で汚れた布をまじまじと見た。王家の血は、彼が今まで見てきた血と何の違いもなかった。高貴で偉大な者たちは、体の中を流れる液体からして別物で別格のはずではないのか?
ダウドはうんざりしていた。どれだけ多くの血を流しても気分は変わらなかった。酒は元々飲まないし、女にもさほど熱中できない男だ。全身が癒えることのない疲れを感じていた。彼の口元にゆっくりと笑みが浮かんだ。このダンウォールのナイフが、疲れ切っているとは。それだけではなかった。胸に去来するこの感情は、いったい何なのだろう?
ジェサミン・カルドウィンの最期の瞬間、彼は彼女の目を見た。その時、彼は自分が間違いを犯したと思った。何かが自分を間違った方に導いたと感じたのだ。そんな考えは何の役にも立たなかった。彼女はもう助からない。彼が後悔しようがしまいが、関係なかった。それでも彼は、彼女の瞳に映る自分こそが真実の姿だと感じた。そこには偽りのない彼自身がいた。その名を轟かす暗殺者でも、歴史を変えた黒幕でもない。彼には理解すらもできないゲームの、ちっぽけな駒の1つだ