[何巻にもおよぶ歴史書から抜粋]

ある時点から、人々はエミリー・カルドウィンを「幼き女王」と呼ぶことをやめた。それは摂政伯爵の時代のように再びダンウォールの独裁を目論む「摂政官」と呼ばれる過激派による襲撃事件が起きた後のことだった

ダンウォールタワーへの帰路、カルドウィンの乗った客車の前後で門が閉鎖され、賊が拳銃を発砲し、さらにはグレネードまで使って襲いかかったのだ。王室護衛官たちはあまりに遠く離れた場所にいて対応できず、わずか15歳の若き女王は孤立無援の状態だった。乗り合わせた友人のアレクシ・メイヒューただ1人を除いては

カルドウィンを支持する者たちは、メイヒューがその場にいたことに感謝しなければならない。足元に投げ込まれたグレネードを勇敢にも拾い上げ、襲撃者たちに向けて投げ返して女王の命を救ったのは彼女だったからだ。前方の門の上から襲撃者の1人が飛び降りると、今度はエミリー・カルドウィン自身が車両から短い棒状の部品を引き抜き、その男を気絶するまで殴りつけた。それから衛兵隊が現場へ急行するまでの間、2人の少女は車両の残骸を背に自分たちの身を守り切ったのである

エミリー・カルドウィンは自分を襲撃した「摂政官」を処刑しなかった。この決定は、女王が初めて成熟した統治者として下した判断として多くの人々から賞賛された

アレクシ・メイヒューはこの事件での英雄的な行動を見込まれ、18歳で衛兵隊員に任命された。彼女は後に隊長に昇格し、任命式でエミリー・カルドウィンに叙任されることになる

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